野上眞宏とレコードジャケット

–6 GREAT LP!! Selected By citymusic


 

「野上眞宏とレコードジャケット」。それはつまり、70年代前半の日本ロック黎明期の名盤をピックアップすることを意味する。はっぴいえんどを軸に、野上眞宏さんが関わった作品の中から6枚のアルバムを紹介しよう。レコードに針を落とし、耳を澄ませると、シャッターを切る音が聞こえてくるかもしれない。(選盤・文=柳本篤)

 

1970年リリース、はっぴいえんどのファーストアルバム。通称"ゆでめん"。 表ジャケットのイラストは、<小梅ちゃん>など美人画の第一人者としても知られる漫画家/イラストレーターの林静一氏。アートディレクションは『ニューミュージック・マガジン』の表紙でおなじみの矢吹伸彦氏。野上眞宏氏が日頃から撮りためていたという写真は表面はコラージュで、そして裏ジャケットには当時のレコーディング風景やステージ写真など配されている。

はっぴいえんど - はっぴいえんど

URC ● URL-1015 [1970.8.5]

|SIDE A|

1. 春よ来い

2. かくれんぼ

3. しんしんしん

4. 飛べない空

5. 敵タナトスを想起せよ!

 

|SIDE B|

1. あやか市の動物園

2. 12月の雨の日

3. いらいら

4. 朝

5. はっぴいえんど

6. 続はっぴーいいえーんど


プロデュース:秦政明

ディレクション:小倉栄司

アートディレクション&ライナーデザイン:矢吹申彦

ジャケットデザイン&イラストレーション:林静一

写真:野上眞宏

 

<裏ジャケット>
<裏ジャケット>

 

2作目にして日本ロックの金字塔、1971年リリースの『風街ろまん』。一度見たら忘れられない4人の<顔ジャケ>を手がけたのは、劇画家の宮谷一彦氏。当初はイラストで路面電車のジャケットを依頼する予定だったが、シンプルなものがいいという宮谷氏の一存で4人の顔ジャケットに急遽変更となった。路面電車のイラストは中ジャケットで使用されている。顔ジャケットの元となる写真は、野上氏が六本木のスタジオで撮影。宮谷氏が輪郭や鼻筋などをくっきりさせるために描き込んで仕上げられている。裏ジャケットは埼玉県狭山市で撮影。クリップで留められているのはマネージャー・石浦信三氏。

風街ろまん - はっぴいえんど

URC ● URG-4009 [1971.11.20]

|SIDE A|

1. 抱きしめたい

2. 空いろのくれよん

3. 風をあつめて

4. 暗闇坂むささび変化

5. はいからはくち

6. はいから・びゅーちふる

 

|SIDE B|

1. 夏なんです

2. 花いちもんめ

3. あしたてんきになあれ

4. 颱風

5. 春らんまん

6. 愛餓を


プロデュース:はっぴいえんど、アート音楽出版

ジャケットディレクション:松本隆

ジャケットデザイン&イラストレーション:宮谷一彦

写真:野上眞宏

 

<裏ジャケット>
<裏ジャケット>

 

スタジオ作としてはラストとなった『HAPPY END』は1973年リリース。録音はロサンゼルスで行われ、ジャケットはデザイン集団<WORKSHOP MU!!>が手がけた。当時のはっぴいえんどはすでに実質的に解散状態で、4人の精神状態を考慮してメンバーを揃えての撮影を見送ることに。結果、アメリカの雑誌広告から持ってきた男女のイラストを表ジャケットに、裏ジャケットはクレジットなど一切ない緑一色のシンプルなものになった。WORKSHOP MU!!は15分ほどでこのデザインを仕上げたという。野上氏の写真はレコードの内袋(インナースリーヴ)で使われている。撮影時期は『風街ろまん』の頃。

HAPPY END - はっぴいえんど

Bellwood ● OFL-8 [1973.2.25]

|SIDE A|

1. 風来坊

2. 氷雨月のスケッチ

3. 明日あたりはきっと春

4. 無風状態

 

|SIDE B|

1. さよなら通り3番地

2. 相合傘

3. 田舎道

4. 外はいい天気

5. さよならアメリカ さよならニッポン


プロデュース:はっぴいえんど

       ヴァン・ダイク・パークス(B-5)

ジャケットデザイン:WORKSHOP MU!!

インナースリーヴ写真:野上眞宏

<参加ミュージシャン>

ローウェル・ジョージ、ヴァン・ダイク・パークス 他

 

<インナースリーヴ>
<インナースリーヴ>

 

1972年11月にリリースされたファースト・ソロアルバム。60年代アメリカン・ポップスに対する深い造詣が一気に噴き出た1枚。はっぴいえんど色と後のナイアガラ色が混在した貴重な記録ともいえる。デザインはWORKSHOP MU!!が手がけ、野上氏が撮ったポートレイト写真は裏ジャケットと歌詞カードで使われている。なおレコードのインナースリーヴにははっぴいえんどのメンバーを中心とする、アルバムのレコーディングメンバーの写真が使われている。

大瀧詠一 - 大滝詠一

Bellwood ● OFL-7 [1972.11.25]

|SIDE A|

1. おもい

2. それはぼくぢゃないよ

3. 指切り

4. びんぼう

5. 五月雨

6. ウララカ

 

|SIDE B|

1. あつさのせい

2. 朝寝坊

3. 水彩画の町

4. 乱れ髪

5. 恋の汽車ポッポ第二部

6. いかすぜ!この恋


プロデュース:大滝詠一

ディレクション:三浦光紀

ジャケットデザイン:WORKSHOP MU!!

写真:野上眞宏

 

<裏ジャケット>
<裏ジャケット>

 

当時、埼玉県狭山市にあった細野氏の自宅に機材を持ち込んで録音された、ファースト・ソロアルバム。1973年リリース。キャラメル・ママが実質的にスタートした作品でもある。野上氏は表ジャケットのポートレイトとブックレット型の歌詞カードの写真を撮影している。デザインは大滝氏の『ファースト』、はっぴいえんどの3枚目と同じく、WORKSHOP MU!!が担当。ジャケット、歌詞カード、SPレコードを想起させるインナースリーヴなどトータルデザインにこだわった仕上がり。

HOSONO HOUSE - 細野晴臣

Bellwood ● OFL-10 [1973.5.25]

|SIDE A|

1. ろっか・ばい・まい・べいびい

2. 僕は一寸

3. CHOO CHOO ガタゴト

4. 終わりの季節

5. 冬越え

 

|SIDE B|

1. パーティー

2. 福は内 鬼は外

3. 住所不定無職低収入

4. 恋は桃色

5. 薔薇と野獣

6. 相合傘


プロデュース:細野晴臣

エグゼクティヴ・プロデューサー:三浦光紀

アートディレクション:WORKSHOP MU!!

写真:野上眞宏

 

<歌詞カード>
<歌詞カード>

 

1973年にリリースされた、サディスティック・ミカ・バンドの記念すべきデビューアルバム。当時はまだまだ一般的ではなかったレゲエやスカの要素を取り入れた先駆的内容だった。アートディレクションはWORKSHOP MU!!、野上氏は見開き中面の写真を撮影している。トロピカルなイメージが強烈なインパクトを放つ。音楽的にもデザイン的にも世界の先端を走っていた。国内のみならず、それは海外(特にロンドン)でも大きな評価を得ることに。

サディスティック・ミカ・バンド

東芝音楽工業 ● DTP-9074 [1973.5.5]

|SIDE A|

1. ダンス・ハ・スンダ

2. 怪傑シルヴァー・チャイルド

3. 宇宙時計

4. シトロン・ガール:金牛座流星群に歌いつがれた恋歌

5. 影絵小屋

 

|SIDE B|

1. 空の果てに腰かけて

2. 銀河列車

3. アリエヌ共和国

4. 恋のミルキー・ウェイ

5. ピクニック・ブギ

6. サイクリング・ブギ


プロデュース:加藤和彦

アートディレクション:WORKSHOP MU!!

写真:野上眞宏

 

<見開き中面>
<見開き中面>

<参考資料>

『はっぴいな日々』(ミュージック・マガジン)

『SNAPSHOT DIARY: 1970-1973』(ブルース・インターアクションズ)

『WORKSHOP MU!!』(主婦の友社)

『はっぴいえんどBOX』(avex-io)