★NEWS★「路上 ON THE ROAD」Spotifyで配信スタート!!


2017年8月に発表したラリーパパ&カーネギーママの新曲「路上 ON THE ROAD」、これまでロジャー・ティリソン『JAPAN TOUR 2003 -LIVE!-』購入者限定のダウンロード楽曲でしたが、みなさんからの熱い要望にお応えしてSpotifyでの配信がスタートです!!今回の配信は第1弾!ラリーパパ関連の楽曲は今後もSpotifyでどんどん配信予定です!乞うご期待!!!

 

 

 

路上 ON THE ROAD(作詞作曲:チョウ・ヒョンレ)

チョウ・ヒョンレ:Vocal, Banjo, Harmonica

スチョリ:Piano, Vocal, Chorus

キム・ガンホ:Guitar, Chorus

水田十夢:Bass, Chorus

辻凡人:Drums, Chorus

 

Produced and Arranged by RALLYPAPA AND CARNEGIEMAMA

Inspired by Tour Audience

Recorded at Alchemy Studio 2017.7.29

Mixed and Mastered by 北畑俊明&福岡直子(Alchemy Studio)

Artwork & Design by 水田十夢

Management by 柳本篤(citymusic)

 

2019.1.1 / citymusic / CMDL-001

 


◾️ MAKING of ON THE ROAD


◾️「路上 ON THE ROAD」に寄せて【SONG REVIEW of ON THE ROAD】


 

新しい曲がリリースされた。「路上 ON THE ROAD」。2016年9月から半年かけて行ったワンマンツアーの最中に、皆さんから頂いたアイデアを紡いで、真っさらな曲が出来た。

 

後半からリズムを変えてシャッフルになるのはスチョリのアイデアを拝借した。レコーディング当日、アルケミーに入る前に2時間練習スタジオに入り、バンドで初めてこの曲を合わせた。最後にスタジオに入った僕が、バンジョーとアコースティックギターしか持ってないのにメンバーが驚いていた。テレキャスは?言うてた。

 

2時間の練習が終わる頃に、こなれて来たメンバーが、シャッフルの部分が長いから半分にしようとか言い出したけど、前半部分を忘れるくらいの尺が欲しいし、どっちの歌詞も捨てられないので、我を通した。音の始まりと、フェイドアウトの長さにこだわった。リピート再生した時に、間が空きすぎないように、繋がっているように、聴いてもらいたいから。このこだわりも、メンバーはあんまり興味を持ってなかったと思う。最後のサビのコーラスで前半の歌詞を持って来たのも同じ意図で、一度聴いたらなかなか抜け出せないリピート地獄にハマってもらいたかった。

 

アルケミーでのレコーディングは、歌パートとバンジョー以外は、いつも通り一発録り。実際には3テイクくらい完走させた時点で、決めのフレーズを追加して確認し、新たにやり直して、2テイク目でOKやった。

 

みんな、すごい良い演奏やった。

 

ドラムは東京からマイセットを持参しただけあって、良い音!スネアのリムはカーンと高音が効いてて、これまでにない音やけど、曲の場面転換を告げる役割を果たしている。そして、何より、ラリーパパ特有のリズム、タイム感は辻の功績が大きい。

 

ベースもいつの間にか腕を上げていた。前日まで東京のおじさんを訪ねてます~いう能天気な写真を、アレンジを詰めているLINEに貼り付けたりしてくる空気読めない男。参考音源聴いてイメトレしときまーす、と、まるで超一流な口ぶり。当日しょーもない演奏してみぃ、しばき倒したるからな!と心の中で用意していたが…うまいやないか。何なんやろ、こいつは。曲のジャンルはベースで決まると常々思っているんやけど、トムは今回、見事に役割を果たしてくれた。とくに後半のブルーズパターンでは、辻と見事なシャッフルをやっている。おみそれいたしやした。

 

ガンホのワウギターは、マネージャーの柳本がツイッターに書いていた通り、前日にはじめて聴かされて、予想外やけどハマる!とみんなが思ったはず。本番では汽車のいななきのような、ドップラー効果のような響きや、ファンキーなカッティング、ガンホ節炸裂のブルーズプレイを吹き込んでくれた。それらも良かったけど、これまでにない一面を見せてくれたのが、歌の合間の決めフレーズが非常にキャッチーである点。おみそれいたしやした。

 

スチョリは始終、無駄のないプレイを。コーラスなんか、割りとフニャっと歌うので、大丈夫かな?思うんやけど、重ねてみたらあら不思議。安定感あるからビックリする。職人の域やね。ブルーズパートでは、ライブで弾きながら歌うことをそっちのけで、ガンホと競い合ってるのが聴きどころ。

 

僕は、すべてにおいて手応えを感じている。想像してた以上のモノができた。(バンジョーは弾けると言うのが憚られる腕前やから、もっと修行せなあかんけど)僕らじゃない誰かが、こんな曲を発表したら、めちゃくちゃ悔しい気分になると思う。「路上」は、聴いた直後、どえらいもん聴いた感覚だけ残って、前半のことを忘れてまた聴きたくなる。

 

もちろん、路上というタイトルは、ロジャーから。

 

(Text by チョウ・ヒョンレ 2017.8.3)


 

「ロジャーが聴いたら喜んでくれるかな?」

 

2017年7月29日(土)新曲レコーディングのため、大阪市内にあるアルケミー・スタジオに入ったラリーパパ&カーネギーママの5人。レコーディングも終盤に差しかかる頃、ドラムの辻凡人はメンバーにそう問いかけていた。

 

"オクラホマの静かなる巨人" と呼ばれたシンガー・ソングライター、ロジャー・ティリソンが来日公演を行なった2003年。ツアーのバックバンドを務めたのはラリーパパだった。まるで初顔合わせとは思えないパフォーマンスは全国のスワンプロック・ファンを魅了し、最初で最後のジャパンツアーは大成功と呼べるものだった。長らく伝説として語り継がれてきたロジャー・ティリソンのジャパンツアーは、かねてからCD化を求める声が多かった。開催から13年後の2016年、我々はその音源を発掘することができた。合計4公演の中からベストテイクをセレクトした『JAPAN TOUR 2003 -LIVE!-』としてリリース。同時にラリーパパは久しぶりに全国ツアーを開始した。

 

このライヴアルバムの特典として考案したスペシャル企画【SOCIAL NETWORK SONG = ラリーパパの新曲ダウンロード】は、歌詞やフレーズ、イメージなどを募集し完成させるという内容だった。ファンからの熱いメッセージを受け取った5人は、全国ツアーをこなしながら新曲の骨組みを構築していった。舵取りは "ミスター・ラリーパパ" ことチョウ・ヒョンレ。そこへ4人のアイデアがどんどんと取り入れられ、「路上 ON THE ROAD」という楽曲が完成するのだった。全国のツアー会場へ向かう心情と、ロジャー・ティリソンへの愛情と敬意がひとつの歌になったのだ。

 

ファンキーなセカンドラインのリズムを導入したラリーパパ流の【トレイン・ソング】だが、珍しくブルース・フィーリング溢れる展開も聴きどころだろう。例えばドクター・ジョンやアラン・トゥーサン、ミーターズなどのニューオーリンズ勢、他にもリトル・フィート、タジ・マハール、大滝詠一や細野晴臣などの諸作にも通じる音像だ。カントリーの要素も見え隠れするところは、5人がアイドルとするザ・バンドが終着駅で待っている。

 

レコーディング当日は終始リラックスした雰囲気だった。メイキング映像でもその様子は伝わるかと思う。辻凡人の安定感と躍動感に満ちたドラムと水田十夢のグルーヴィーなベースが屋台骨となり、縦横無尽に疾走するキム・ガンホのギター、繊細と大胆が同居するスチョリのピアノ、もはやいぶし銀の域に達してきたチョウ・ヒョンレのボーカル。さらにヒョンレはバンジョーとハーモニカも担当している。もちろんスチョリとヒョンレのツインボーカルの相性は言わずもがな。慣れ親しんだ往年のラリーパパ・サウンドでありながら、これからのラリーパパを感じさせる傑作の誕生だ。

 

こうして約三年にわたって展開してきたロジャー・ティリソンとラリーパパの壮大なプロジェクトは、新曲「路上 ON THE ROAD」の完成によって完結する。ひとつの旅が終わった。しかしまた次の旅が始まる。いや、もうすでに始まっているようだ。レールはまっすぐ、約束の場所へ向かって列車が走り出した。

 

(Text by 柳本篤)